すべて無事終了。考えられないくらいに嵐のようにこの2週間が過ぎた。
両国の大広間が超満員に膨れ上がるほどの引退記念パーティーがおわり、
都内ホテルに引き上げわれわれのみで再度うちあげ。渕さんも合流。
試合後はノーサイド。ドリーさんの弟子としてねぎらいの言葉を
かけられていらっしゃった。ホテルに戻ったのは11時半。
ホテルのバーで乾杯。もちろんシャンパン。
昨日はモエとテタンジェ。私の非常に親しい知人がむかしバックストリートボーイズの
5大陸横断ツアーというものをやった際の日本においての最高責任者がいる。
いる間のリモの手配はもちろん、会場、宿泊、食事、警備、警察、消防、
ヘリのチャーター、海上移動。
成田インから成田アウトまでの全行程の責任がかかっている。
ドリーさんを全日本に呼ぼうと企画は私。パーティーの企画も私。
オークションの企画も私。Tシャツの販売の企画も私。
すべて失敗したら責任重大。
プロレスに入ってここまで責任を感じたシリーズもない。
ギャランティの交渉、さまざまなオプション契約、サイン、写真に関する契約、
Tシャツ販売に関する契約、航空券の手配、マイアミの日本領事館でのビザの手配、
全行程の車の手配、食事、とくにスポンサー関連等の食事会のセッティング。
ここまではいいとしても裏方の仕事だけでなく表舞台にかんしてまでも。ようは試合。
全日程、私はドリーさんのパートナー。試合も本当に気を使った。
私が出る幕でもないが、いったんリングに入ると気合が入りすぎて
なかなか戻ってこない。
毎日のように若手の選手を稽古しているからコンディションも抜群。
67歳の動きではない。しかし引退試合一試合ならともかく、全10戦。
一番ヒヤッとしたのは、武藤さんとの絡み。
ドリーさんが武藤さんの右足をつかんだ瞬間すかさずスピニングに入った。
1回、2回、3回。私は暴れる太陽ケアを場外に落とすと必死にカットしようとするのを
阻止しようとした時、まるで昔見たことのある、NWAヘビー級選手権。
タンパの南西に位置するセントピーターズバーグ。通称センピー。
そこのベイフロントセンターでおこなわれた
ドリーファンクジュニア対ジャックブリスコの再現かとおもわせる時があった。
回転が続き一気に勝負に出た元NWA王者の右足を今度は武藤さんがつかんだ。
右足をつかみドリーさんを後方に倒し、ものすごい速さで4の字に入った。
となると形勢逆転し、今度は太陽ケアが私をなかなかリングに阻止させまいと
捕まえにはいる。もうひとりのパートナー。中島勝彦も彼は彼で捕まっている。
結局、勝彦がカットに入った。非常に私にとって長く感じた時間。
もしかしたら1分くらいかもしれないが、5分以上に感じてしまった。
ドリーさんが勝彦にタッチをし、コーナーでドリーさんが膝をひねったと
小声で私にいった。最後の両国まで持つか本当に心配だった。
昔、ドリーさんが父、シニアとジンキニスキーらと同じテリトリーで試合をしているころ、
手術しなければならない怪我をしたそうだ 。
医者に見てもらうと手術をしないさいとのこと。
プロモーターのジンキニスキーに電話を入れたら、とりあえず会場にこいとのこと。
テーピングをぐるぐる巻きににして足が曲がらないほどに巻き上げ結局試合出場。
それをしばらく続けるうちにだんだんと回復してきて結局は手術を受けずに
済んだという話を今回、移動中の車の中で聞いたことをおもいだした。
膝がどうやらおかしいと膝を気にしていたドリーさんだった。
引退試合にもかかわらず、自分たちの先生にもかかわらず、
天龍さんと渕さんは激しくいたぶった。
あの二人もさすが全日本。昨日は67歳の体におもいっきりチョップ。
顔面にグーパンチに平手までかました。見ているほうが心配。
しかし両国のファンが心配したこの瞬間にヒールとベビーフェイスの縮図ができた。
私は長い間新日本の教育を受けてきたわけであるが、
2000年からドリーさんの教育を通じて全日本の独特の流れを学んできた。
新日本は新日本独自の流れがある。
ようするに猪木さん、藤波さん、坂口さん。全日本は馬場さん、鶴田さん、天龍さん、
渕さん。プロレスを深く勉強すると戦法や、特に間合いの取り方がずいぶんと違ってくる。
心理学でもあり、タイミングでもある。
表現方法や戦法が違えど源流はアメリカを知れば見えてくる。
だから私は源流をもとめアメプロを勉強しているのだが。
ゴッチさんや、ユーロキャッチ、ランカシャーのビリーライレージムまでにも出向き
プロレスのルーツを勉強する。
どのようにして新日流、全日流に変わってきているかがなんとなくわかる。
ドリーさんもいっていた。最近のプロレスはバタバタしすぎ。ラッシュをかけすぎ。
戦法を全体的にとらえていない。ものすごい的確な答えだ。
今の時代も、テレビもお笑いもみんなものすごいスピードが要求される。
ショートコントの連続。その点昔のお笑いは味があった。
私はいろいろと時代も変わり趣向も変われど、誰かがこのクラシックな、
むしろ原典の戦法を守らなければ、なくなってしまうのではないかと本気で思う。
この戦法と戦術を学ぶには最低10年は必要。
ドリーさんが引退し、渕さんや天龍さんがいなくなったら
もう継承できる人はだれがいるだろうか。
全日本の若手にも言葉ではない、この感性を自ら興味をもち
勉強していってもらいたいものである。
ドリーさん、本当にありがとうございました。
あなたの教えは私の財産。必ずや継承していきます。
そしてドリーさん、全日本のファンの皆様、
本当に多大なる声援をありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
ドリーさんは明日の14時日本をたたれます。
成田で最後のお見送り大歓迎です。
ノースウエスト航空のカウンターに11時集合で。